捨てられる危機にある花たちを救うためにできること | ボタニカルライフスタイルマガジン - BOTANIST Journal

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SUSTAINABLE 03

捨てられる危機にある花たちを救うためにできること

まだ美しく咲いている花でも、出荷の時期を逃したり売れ残れば捨てられてしまいます。社会問題にもなっているフラワーロス。少しでも減らすためのプロジェクトが活発になっています。

花が大好きだから見逃せない「フラワーロス」の現実

今さらのようですが、花には、五感に響く大きな力があります。飾る、祝う、伝える、慰める、癒やす・・・そんな様々な思いを込めて、私たちは花のある暮らしを楽しみ、花たちから優しく幸せな気持ちをもらっています。

今年、花咲く春の訪れるちょうどその頃に、婚礼やイベントの中止や、花屋さんの休業にもよって、需要が低迷したり値崩れが起きたことで行き場を失った花たちが大量に捨てられていることがニュースになりました。 実は以前から、フラワーロスはフードロスよりも3倍も量が多いといわれ、社会問題でもありました。流通や在庫時の劣化のためや、日々売れ残った花の廃棄が当たり前にようになっていて、クリスマスや母の日といったイベントが終わったとき、結婚式の装花なども1日限りの役目を終えると、大量に捨てられてしまう。そんな現実を耳にするのはちくりと心に痛いものでした。

それが今年は、花農家で摘み取りを行う時期に出荷もされないまま、廃棄せざるを得ないことが多く起こってしまったのです。 花たちのみならず、花生産者や花、植物に関わる人々を少しでも救いたいという思いがちょっとしたムーブメントになったのは、少し皮肉だけれど、多くの人たちがまだ出会う前に廃棄される花のことに思いを馳せるよい機会になったといえるかも知れません。

誰かが救わなければ捨てられる花はどこで買える?

今、外出しなくてもインターネットで花や植物を購入でき、人に贈ることもできるプロジェクトが続々と登場しています。命ある植物をもっと大切にするだけでなく、生産者や市場、流通など花業界の維持と循環を応援することにも繋がります。 何もしなければ捨てられる花を買取り、私たちに届けてくれるショップやプロジェクト。ぜひ利用してみてはいかがでしょう。

再び命を吹き込まれたロスフラワーが暮らしを彩る
Flower cycle marche by RIN. Inc

“花のロスを減らし花のある生活を文化にする“ことをミッションに掲げ、廃棄されてしまう花に命を吹き込む活動をしている河島春佳さん。「ロスフラワー」という言葉の名付け親でもあります。
2017年、生花店での短期アルバイト時に、廃棄になる花の多さにショックをうけたことから、独学でドライフラワーづくりを学び、フラワーサイクリストとしての活動を始めました。「フラワー サイクル マルシェ」は、河島さんが代表を務める株式会社RINが運営しており、私たちがウェブサイトから花を購入することで廃棄花の削減をサポートする仕組みになっています。
おうち時間も気持ちも優しく華やぐ花がきっと見つかりそう。 Flower cycle marche by RIN. Inc

中でも注目したいのが、秋田県の生花店 greenpiece とのコラボ商品。毎回センスの光る “ドライフラワーになりやすい生花” が届き、2020年8月後半発送予定の商品は、色鮮やかに着色された花のセット。9月後半発送予定の商品は、自宅で白い生花をブルーに染め上げることができる特別な体験キットです。ドライフラワーにするための説明書付きで、美しい花たちがドライになっていく過程も楽しめます。
https://lossflower.theshop.jp/items/32216468

花と暮らすというライフスタイルで花農家を応援
Smile Flower project

自粛や制限が解除された現在も、花の需要や流通は劇的に縮小したままだといいます。廃業の危機に追い込まれている花の生産農家も少なくありません。 スマイル フラワー プロジェクトは、命ある花を救うこと、花の生産者を応援すること、そして少しでも多く人々に花を届けて、命あるものの循環を繋いでいくこと届けたいという思いで今年4月にスタート。 全国の生産農家、市場との連携で、季節の花々の切り花、観葉植物、アレンジフラワー、リース作りの花と材料のセットなど、バラエティに富んだラインナップから購入できます。厳選された最高品質のバラ、ヒマワリやガーベラなどの生花を箱売り単位でリーズナブルに購入できる他、オリンピックのメダリストに渡されるはずだったビクトリアブーケの花も取り扱っています。農林水産省の委託事業に認定され、インターネットから注文した商品は送料が無料です。 Smile Flower project

2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックでは、メダリストへ贈るビクトリーブーケに、トルコギキョウが使用予定だったため、全国で例年より多く作付けされています。たっぷり20本のセット、ちょっと贅沢に飾ってみては。 支援販売価格のため価格もかなり安め。ギフトラッピングにも応じてくれます。
https://jfc.thebase.in/items/30770575

花を愛し、花のある暮らしをもっと楽しみたいならなおさら、どこで誰がどんな思いをこめて育てているのか、どうやって私たちの手に届いているのかにも、想像力を働かせたいもの。ロスフラワーを減らすための花の購入方法だけでなく、買った花はまめに切って水揚げして大切に持たせたり、ドライフラワーにするなど、小さなできることを重ねていく、それをひとりひとりが続けていくことも、すごく大切かも知れません。
自分だけでなく、花を買うことで誰かを少し幸せにできる。それは「植物と共に生きる」ひとつのアクションに他なりません。