古くから受け継がれる、しめ飾りに込められた想い
お正月が近づくと玄関先や神棚などに飾るしめ飾り。しめ縄に縁起物などを施したこの飾りには、新年を華やかに彩るだけではなく、古くから伝わる大切な意味が込められています。
まずしめ縄は魔除けであり、神の領域と現世を隔てる結界の役目を果たすもの。しめ縄があることで、そこから先は不浄なものが入ってこない清らかな空間であり、神様を祀るのにふさわしい神聖な場所であることを意味します。そのため、神社にはしめ縄が張り巡らされているのです。
そして正月というのは本来、豊作や健康をもたらすとされる新年の神様「年神様(としがみさま)」を迎えるための行事。年神様から幸せを授けてもらうために、さまざまな正月行事が生まれたのです。
こうしたことから、お正月が近づくと各家庭でしめ飾りを施して家内が神聖な場所であることを示し、幸せをもたらす年神様を迎え入れることが風習となりました。
飾り始める目安は、大掃除のルーツとされる12月13日の「すす払い」。古来よりこの日を、正月準備を始める「正月事始め」としてきたため、しめ飾りもこのタイミングから飾り始めて構いません。とは言え、現在はクリスマスが過ぎた25日以降に飾り始めるのが一般的。ただし、29日は「二重苦」で縁起が悪く、31日は「一夜飾り」で神様に失礼とされ、いずれも良くない日とされています。この二日間に飾るのはできるだけ避けるよう、28日までには飾ると良いでしょう。
そして、松の内(1月1日~7日、地域によっては~15日)を過ぎたら外します。外したしめ飾りは地域や神社などで行われる「どんど焼き」に持って行くか、古いお札やお守りなどと一緒に処分してもらえる神社に納めるか。いずれも難しい場合は普通ごみとして出しても構いませんが、塩や清酒で清めてから紙に包み、他のごみとは分けて別のごみ袋で出すなど、神聖なものとして丁寧に処分するのがおすすめです。
伝統を生かしながら、現代的にアレンジを
昔ながらの伝統的なしめ飾りの装飾には、家系を絶やさず次世代へ譲り子孫繁栄を願う「ゆずり葉」、葉の裏が白いことから清廉潔白や白髪になるまでの長寿を表す「裏白(うらじろ)」、代々栄えるよう願う「橙(だいだい)」など、縁起が良いとされる植物や果実に、扇や昆布、紙垂、水引などが挙げられます。
一方、最近では今のライフスタイルに馴染むようモダンなデザインのものが登場したり、自分好みのしめ飾りを手作りして楽しんだりする方も増えています。
そこで今回は、初心者でも簡単に作れる、伝統を守りしながらもおしゃれなしめ飾りの作り方をご紹介します。
装飾に使う植物は、南天(撮影時は野バラで代用)、松、柳葉ユーカリ。
南天は「難を転じて福となす」という意味で、正月飾りにはよく用いられます。また、赤色には昔から魔除けの力があると信じられており、そういった意味でも縁起が良いものです。
松は、生命力が強く樹齢数千年というものもあり、且つ真冬でも青々とした葉を茂らせることから、長寿と健康のシンボル。また、神を「待つ」、神を「祀る」という言葉にもつながるとされ、古来より神様が来るための目印である依り代(よりしろ)となる木であり、神様が宿る木と考えられています。
いずれも12月~1月の花材の代表格であり、縁起物の植物です。
一方、柳葉ユーカリは、デザインのアクセントに使用。通常のユーカリよりも細身でしなやかな柳葉ユーカリは、美しい流線形を描きます。こういった花材を組み入れることで、シンプルながらも動きのある、華やかな仕上がりになります。
用意するもの
- ワラしめ縄台:1台 ※撮影時は17cmのものを使用。
- 南天:1枝 ※撮影時は野バラで代用。
- 松:2枝
- 柳葉ユーカリ:2枝
- 水引(赤):30本
- 半紙(もしくは白い紙):1枚
- リースワイヤー:1本
- #26ワイヤー:数本
しめ縄の作り方
ワラしめ縄台の向きを確認し、引っ掛ける部分を作る
ワラしめ縄台は、太いほうが右側、輪が下にくる向きで使用。輪の結び目の部分にリースワイヤーを巻き付け、少し余らせた部分で小さな輪を作ります。この輪は壁などに飾る際、フックなどに引っ掛ける部分となります。
柳葉ユーカリを飾る
柳葉ユーカリをワラしめ縄台の上の部分に重ね合わせ、同じぐらいの長さにカット。そのまま左にずらし、柳葉ユーカリが美しく垂れ下がるようにセットしたら、ワラしめ縄台の輪の結び目部分あたりにリースワイヤーを巻き付け、柳輪ユーカリとワラしめ縄台を固定します。また、リースワイヤーはカットせず、そのままにしておきます。
松を飾る
松をワラしめ縄台の上の部分に重ね合わせ、3分の2ぐらいの長さにカット。そのまま柳葉ユーカリの上に重ねて、同じくリースワイヤーで固定します。
南天を飾る
南天の枝をワラしめ縄台の上の部分に重ね合わせ、同じぐらいの長さにカット。そのまま松の上に重ねたら少しだけ右にずらし、同じくリースワイヤーで固定します。枝の下部分が不揃いの場合は、きれいに切り揃えましょう。
水引を飾る
水引30本をまとめて、ワラしめ縄台の輪よりも小さい二重の輪を作り、結び目部分を#26ワイヤーでまとめます(あらかじめ輪になった状態の水引も売られているので、難しく感じる場合はそういったものを使用しましょう)。水引の先をきれいに切り揃えたら、ワラしめ縄台の中心に合わせて、リースワイヤーで固定します。全体的にしっかり留まったら、リースワイヤーをカットします。
半紙を巻き付ける
リースワイヤーが巻き付いている中心部分の幅に合わせて半紙を縦に折り、上から巻き付けてテープで留めたら完成です。
出来上がったしめ飾りは、玄関はもちろん、リビングやキッチンなどに飾って、おしゃれなインテリアとしても楽しみましょう。 また、残った花材もしっかり活用。一輪挿しやコップなどに生けてお正月モチーフのピックなどを挿すだけで、素敵なお正月アレンジメントが出来上がります。 今年は伝統を意識しながらもおしゃれで素敵なしめ飾りで、ボタニカルなお正月のライフスタイルを楽しんでください。
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Blowmist BOOM
京都・二条エリアに構えるフラワーショップ。季節の定番から珍しいものまで多彩な生花と、センスが光るオリジナルのドライフラワーが数多く並ぶ。また、店内では定期的にフラワーアレンジのレッスンも開催。