Sustainable People #2 モデル活動を通して芽生えたサスティナブルの意識を発信 | ボタニカルライフスタイルマガジン - BOTANIST Journal

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Sustainable People #2 モデル活動を通して芽生えたサスティナブルの意識を発信

仕事でもプライベートでも、サスティナブルを追求する方へのインタビューシリーズ。今回は、モデルとして活躍する傍らサスティナブルな情報を発信するプラットフォーム「EF.」を運営する、中島沙希さんに話を聞きました。

美しさと強さ、優しさを糧に
モデルとして幅広く活躍

高校生の頃に地元・福岡でスカウトされたことをきっかけに、モデル活動をスタートした中島沙希さん。当時は憧れの雑誌に載ることを目標に、頻繁に上京していました。中島さんは「高校卒業後は短大に進学して、勉強しながらアルバイトでお金を貯めては、長時間かけて東京にオーディションを受けに行っていました。でも、審査はほんの一瞬で終わって、結果は不合格。そんな日々を繰り返して、悔しさを抱えて生きていました」と当時を振り返ります。

しばらく苦しい時期を経験した後、晴れて憧れの雑誌で誌面デビュー。さらに5年前、モデル活動を本格化するべく、短大卒業を機に拠点を東京へ移し、モード誌や広告出演など、活躍の場を広げています。

そんな今も日々心掛けているのが、初心を忘れず、人への感謝を忘れないこと。「モデルは求められてこそ、周りの支えてくれるスタッフさんがいてこそ成り立つ仕事なので、この二つはいつも心掛けています」と中島さん。また、自分を信じる気持ちを強く持つことも大切に。「自分を信じるからこそ、自信がわくと思っていて。元々メンタルは弱いほうですが、モデルを始めて悔しい思いもたくさんするなかで強くなっていきました。ネガティブを経験しているからこそ、ポジティブになれるというか。今も悔しければ涙が出ますが、その度にもっと強くなろうと思って生きています」。

そう静やかに話す姿は凛とした美しさをまとっている一方、実は現場ではいつも緊張しているのだとか。そして、その緊張すらも楽しんでいるといいます。「緊張を味わえることは嬉しいことだという風に切り替えて。緊張を楽しむことでより一層力を発揮できるよう、いつも前向きに意識していますね」。だからこそ、中島さんがいる現場は終始笑い声が飛び交う和やかなムードが漂っているのです。

そんな中島さんのモットーは、一日一善。「子どもの頃からずっと母に言われてきたことで、当たり前に意識して生活してきました。例えば倒れている自転車を起こしたり、ポイ捨てされているゴミをゴミ箱に入れたり。ささいなことですが、一日一つ良いことをするようにしています」と話します。
謙虚な気持ちで感謝を忘れず、どこまでも強くポジティブに。そして、誰かのためを思った行動を幼い頃から日々実践してきた中島さん。やがて彼女がサスティナブルと出合うのも、必然だったのかもしれません。


サスティナブルと出合い
自ら実践、発信する日々

中島さんが環境問題に興味を持ったのは2年前。ある現場で一緒になったモデル仲間のSONYAさんがきっかけでした。「SONYAがマイボトルを持ち歩いているのを見て、何となくエコとかを意識しているのかな? と興味を持って話かけました。そうしたら、衝撃的なことをたくさん聞かせてくれて。当時の私は何も知識がなく行動もしていなかったのでその話がすごく響いて、私も何か行動したいと思いました」。
SONYAさんの話はプラスチック問題について。プラスチックが環境に悪いという話だけではなく、プラスチック製のペットボトルやスプーンなどを使うと、微量でも口からマイクロプラスチックを摂取することになり、それが体内に蓄積されて健康が脅かされるというものでした。「この時、プラスチックが環境に良くないという話は正直あまりピンときませんでした。プラゴミの山の写真を見せられても、どこか他人事のように思えて。でも、自分で自分のからだを守るためにもプラスチック製品を使わないという部分にはすごく納得して。そこから行動を起こすようになりました」。
例えば、スキンケア商品ならばサスティナブル素材のボトルを採用したプロダクトを使うようになったり、キッチン周りならプラスチック製の保存容器をシリコン製のものに変えたり、ラップをやめて蜜蝋(ミツロウ)ラップを取り入れたり。ちょうど引っ越しのタイミングも重なり、新たに買い足すものから少しずつ脱プラ生活を始めていったといいます。

さらに中島さんは自分の生活を変えるだけではなく、自身が受けた衝撃を発信していく活動がしたいと、SONYAさんに相談。二人で半年間準備を重ね、1年半前の2020年春、サスティナブル情報を発信するプラットフォーム「EF.(イフ)」を立ち上げました。「EF.」は「Eco Friendly(エコ フレンドリー)」の略であると同時に、「If(イフ=もしも)」にかけて、「もしも、自分の選択が少しでも未来を良くするのなら」という想いが込められています。

「EF.」では、日常生活の中で脱プラを実践できるグッズを紹介。中島さんとSONYAさんがそれぞれ情報を集め、実際に使ってみて良いと思ったアイテムや、勉強のために読んだ本、観た映画などを紹介しています。
「私たちも学びながらアクションを起こしている最中なので、その過程をシェアできたら良いなと思って発信しています」。

また、2021年2月より「EF.」オリジナルグッズも展開。シリコン製の折り畳み式タンブラー「ストージョ」とのコラボレーションで「EF.」のロゴ入りタンブラーと、同じく「ノープラスチックジャパン」とのコラボレーションで「EF.」のロゴ入りステンレスストローを販売し、売上金の一部を環境保全団体「WWF」に寄付しています。

「EF.」をスタートしてから、中島さんの周囲にはマイカップやマイストローなどを持ち歩く友人、知人が増えたそう。「EF.」のインスタグラムにコラボストージョを使っているストーリーズのシェアが届くことも多く、「私たちきっかけで実際にアクションを起こしました! というメッセージが届くととても嬉しいです」と話します。


サスティナブルな生活は
からだにも心にもプラスに

中島さん曰く、「サスティナブルな生活にシフトしてから、まず家で出るゴミの量が減りました。それに、自分のからだにも環境にも優しいアイテムを使うことは、気持ち的にも心地よくて、前向きになれる。特に不便さは感じませんし、より物を大切にしよう、長く大切に持ち続けようという思いが強くなりました。もっと取り入れていきたいし、勉強していきたいです」と笑顔。

アイテムの実用性はもとよりデザイン性にも満足しているようで、「サスティナブルなグッズはオシャレなものが無くて抵抗があるという方もいるかもしれませんが、実際はいろんな色、オシャレな柄やかわいい柄のものも多いです。家に置いていてもかわいく、邪魔にならずに溶け込む。普段持ち歩いている必需品にも馴染んでいますね」と話す中島さんのバッグの中には、今日もオシャレなマイボトルやマイタンブラー、シリコン製の容器などが入っています。

それでもまだまだ、プラスチック製品に頼っている部分も多いという中島さん。しかし悲壮感が漂うどころか、その表情は希望に満ちています。「一人ひとりにできることは限られていますし、中には自分一人のアクションが何か役に立つの? と不安や疑問に思う人もいると思います。でも、私たちの小さな活動の一つひとつがきっかけとなり、大きな企業が脱プラスチックに向けて動いてくれるようになって、世の中が大きく変わるかもしれない。そう信じて行動していきたいと思います」。


自分らしさを大切に
サスティナブルへの一歩を

最後に、サスティナブルについてまだよく分からない、興味はあるけれど一歩踏み出せないという方に向けて、中島さんからアドバイスが。「最初は知らなくて当然で、まずは知ろうとすることが大切だと思います。
私は知れて良かった、知らないことのほうが怖かったなと思っていて。知った上で、自分ができることを考えましょう。例えば私がそうであったように、よくカフェに行くのであれば、そこでマイカップやマイストローを使うようにしてみるとか。それなら無理なく始められるな、ストレスなく続けられそうだなと自分の中で想像できるなら、きっとできるから。そうやって少しずつ始めてもらえたら嬉しいです。それに、普段から古着が好きだとか、長く使えそうなものを選んで買っているというのもサスティナブルの一種。今やっていることを改めて考え直してみると、自分にとってのサスティナブルって案外身近に見つかるかもしれませんよ」。

また、中島さんはこうも話します。「きっかけは人それぞれで良いと思っていて。環境に悪いからプラスチックを減らそうと思えなくても、私のように健康に悪いからという理由なら腑に落ちて、サスティナブルな生活に踏み出せるという人もきっとたくさんいると思います。エコグッズがオシャレだから持ってみようとか、流行っているなら買ってみようとかでも全然OK。そこから最終的には環境問題や健康問題について知り、より多くの行動につなげていければ良いのではないでしょうか」。

そう語る中島さんの最終目標は、自らの発信をやめることだとか。「みんなが環境問題について知っていること、アクションすることが当たり前になって、発信する必要がなくなるのが理想ですね。まだまだ知らないことが多いからこそ、みんなで学びあっている今があると思っているので」。そう真っ直ぐ語る中島さんは、これからも目指す未来に向けて、しなやかに力強く歩んでいきます。


PROFILE

中島沙希

1995年福岡県生まれ。高校生の時にスカウトされたことをきっかけに、モデル活動をスタート。現在は東京を拠点に、モード誌や広告出演など幅広く活動する。その傍ら、2020年春よりサスティナブルな情報を発信するプラットフォーム「EF.」を運営。毎週金曜21時に更新中。
Instagram / @saki_nakashima
Instagram / @ef_ecofriendly