誰でも食べられる野菜寿司で、皆が一緒に共有できる楽しい食卓に | ボタニカルライフスタイルマガジン - BOTANIST Journal

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誰でも食べられる野菜寿司で、皆が一緒に共有できる楽しい食卓に

野菜で作る華やかな寿司「VEGESUSHI(ベジスシ)」で、国内外のヴィーガンやベジタリアンを魅了するフードユニット「hoxaikitchen(ホクサイキッチン)」。その一員で自身も野菜中心の食生活を送る中川啓太さんに、開発ストーリーや食への想いを伺いました。

美しさと美味しさを両立
芸術的な野菜の押し寿司

日本食の代表格である寿司。それを魚介類ではなく野菜のみで、しかも美しく華やかに仕上げたのが「VEGESUHI」です。手掛けるのは、フードデザイナーのGenさん、野菜ソムリエのJunさん、そしてベジタリアンシェフのKeiこと中川啓太さんから成るユニット「hoxaikitchen」。2016年よりケータリングとして「VEGESUSHI」の提供を始め、国内外のパーティを鮮やかに彩っています。
レシピは、依頼を受ける度に、その時その場所で手に入る野菜をベースに考案。中川さんは独学で料理を学び、世界各地でシェフとして働いた経験があることから「どんな国の料理も作れる」という知識と技術の持ち主です。さらに、中川さんとGenさんはそれぞれが世界中を巡る旅人であり、Webデザイナーとしても活躍。豊かな感性をもって、これまで作ってきた料理、旅で訪れたあらゆる国の食べ物、道中で目にしたデザインやアート、自然風景などからインスピレーションを得ることで、次々と新たなレシピのアイデアが沸き上がるといいます。斬新な食材の組み合わせとアートのような佇まいの「VEGESUSHI」からは、彼ら独特のセンスを感じずにはいられません。
また、見た目と同様に美味しさも追求する上で、使用する野菜は厳選。なるべく自然の旨みがたっぷり詰まった有機野菜を、農家の方から直接仕入れるようにしているというこだわりも光ります。

多様性のある海外で花開く
新たなSUSHI文化

「VEGESUSHI」が誕生したのは2016年。発案者はGenさんでした。当時よくパリやベルリンなどヨーロッパを訪れていたGenさんは、現地で盛んに開かれるホームパーティに招かれることも多くありました。そこでは参加者が各々の家庭料理や母国の料理を持ち寄り、振る舞うのが楽しみの一つ。そうなると日本人としては寿司を振る舞いたいところですが、ヨーロッパでは生ものを食べる文化が一般的ではない上、ベジタリアンやヴィーガンの先進都市であることから魚を食べられない人も多く、寿司は不向き。そこでGenさんがイメージしたのが、誰もが楽しめる野菜の寿司だったのです。
Genさんは元々知り合いだった中川さんを誘い、2016年5月から「VEGESUSHI」の開発をスタート。「普通の野菜の寿司なら、わざわざ作る必要はないと思っていて。やるからには自分たちにしかできない、味にもデザインにもこだわったものを作ろうと思いました」と中川さんが話す通り、試行錯誤の末に出来上がったのは、誰も見たことのない、ケーキのような野菜の押し寿司でした。
ほどなくしてGenさんの知人でワインに詳しくペアリングを得意とするJunさんも仲間に加わり、2016年7月、現地の知り合いを頼ってパリとベルリンのパーティで披露。大きな反響を呼びました。
こうした経緯から中川さんは、「誤解されがちですが、『VEGESUSHI』は決してベジタリアニズムを謳いたいわけでもなければ、何の思想も乗せてはいません。あくまで『世界中どこでも皆で一緒に楽しめる寿司』を追求した結果です」と言います。

作る過程も共有することで
より一層広がる楽しさ

海外で華々しいデビューを飾った「VEGESUSHI」ですが、すぐに日本でも話題となり、国内外のさまざまなパーティで提供。さらに2017年4月にはアート&レシピブック『VEGESUSHI パリが恋した、野菜を使ったケーキのようなお寿司』も発行されました。
そして発行の翌月には、出版記念イベントとして、初のワークショップを開催。そこで「ただ食べるだけではなく、自分で作れる面白さが追加されることで、皆さんの中での『美味しい』の質が変わると実感しました」と中川さん。これを機に、ケータリングに加えてワークショップも、国内外問わず積極的に行っています。

自分の想いに正直に貫いた
ヴィーガンの食生活

Genさんと共に「VEGESUSHI」を生み出した中川さん。実は開発までの数年間、自身もヴィーガンの食生活を送っていたといいます。きっかけは、東日本大震災。当時、東京で暮らしていた中川さんにとって大きなインパクトとなり、環境やライフスタイルを見直した結果、都会ながら豊かな自然が残る京都へ移住しました。さらに、「何を食べているのか分からないのは怖い」と考え、添加物の入った食品は避け、無農薬野菜を好むように。その流れでヴィーガン食に切り替えました。
「変なものを食べたくない、ピュアフードを食べたい、という想いが始まりで、一旦全てリセットしようと考えました」と中川さん。いざ実践してみると大変どころか面白く感じ「基本は毎日自炊で、楽しくやっていました。体調が悪くなることもなく、むしろ良くなりました」と笑います。ただ、友人と外食する時には苦労したそうで「よく見ると、世の中は肉と魚だらけだと気づきました。じゃあサラダを食べようかと思っても、ドレッシングに引っかかって」と苦笑い。「それでも、友達を失ってまでやるものではないとは思っていたので、外食も続けつつ、その中で食べられるものを探しながらやっていました。でも、そのうち蕎麦ぐらいは食べたいなと思って。厳密にいうとカツオ出汁が引っかかるのですが、蕎麦屋だけはたまに行っていました」と振り返ります。
我慢や無理をせず、楽しみながら続けることこそ、心身ともに健やかな生活を送れる秘訣なのでしょう。

自然の恵みを大切に
丁寧に消費する生き方を

現在、中川さんはヴィーガンではありませんが、野菜中心の食生活を送っています。2016年12月から2017年の4月までパリのレストランで働くことになった際「そのレストランは肉も魚も扱っていたので、さすがに無理があってヴィーガン食はやめました。でも、パリの食材はピュアフードばかりだったので、その点では何を食べても安心でしたね。日本に帰国してからは、ヴィーガンには戻らずとも、やはり安心安全な自然のものを食べたいという思いから、生産者の顔が見える、有機野菜中心の食生活を送っています」と話します。

現在は、「hoxaikitchen」のシェフであり、個人的にもフードデザイナーとしてケータリング事業を行ったり、飲食店のメニュー開発に携わったりしている中川さん。最後に「あなたにとってのボタニカルライフとは?」という問いを投げかけると「食事を大切にすること」という答えが返ってきました。
中川さん曰く、「ライフスタイルを見直した時、やはり一番に感じたのが食事の大切さでした。食事を変えると性格まで変わったという話を聞くと、体だけではなく心にも影響するものなのだと痛感して、適当に済ませてはいけないと思ったんです。栄養だけ考えるならサプリでも良いのかもしれませんが、自分はきちんと天然のものを使い、素材本来の持ち味を生かした美味しく楽しい食事を摂ることを大切に生きていきたいと思いました」。

自然の恵みに感謝し、日々大切にいただく姿勢を貫く中川さん。最近ではフードロスの問題やプラスチック削減の動きにも関心を寄せ、「無駄な消費をしないこと」をモットーとしています。そして、今後は広く環境問題に対して何らかのアクションを起こしていきたいそう。「例えば、農薬を使っていない野菜を食べることだって、自分の体のためだけではなく、土や海を汚さないという環境保全にもつながるんです。そういったことを自分が関わっているさまざまな活動の中で伝え、広めていければ良いなと考えています」。

中川さんなりの自然との共生、ボタニカルライフは、さらなる広がりを見せます。

PROFILE

中川 啓太さん

1983年生まれ、北海道札幌市出身。愛知県立芸術大学美術科彫刻専攻卒業後、東京へ。独学で料理を学び飲食関係の仕事に従事し、2011年京都へ移住。ヴィーガンの食生活を取り入れながら、シェフ、フードデザイナーとして国内外で活動。2016年より「hoxaikitchen」のメンバーとして「VEGESUSHI」を提供している。

2020年3月15日、京都にて「VEGESUSHI」のワークショップ開催決定!
中川さんから直接「VEGESUSHI」作りを学べるチャンスです。
詳細は下記よりご確認ください。
https://www.facebook.com/events/231407817889148/
https://forms.gle/FPpe8AMWCPqUxkeR7

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植物と共に暮らすことを通じて見えてくる、新しい生き方。それは、今、この時代に、必要な選択肢かもしれません。ボタニカルライフスタイルにフィーチャーし、より豊かに暮らすためのヒントを追求していきます。

ヴィーガン専門のケータリングサービスを行うSUNPDAL YOKOさんの生き方にフィーチャーし、​この時代を、より豊かに暮らすためのヒントを追求した動画を制作しました。