抜け毛の仕組み
そもそも、なぜ髪は抜けるのでしょうか。髪が生え変わるヘアサイクルについて最初にお話しします。
ヘアサイクルによって定期的に抜け落ちる
毛根の内部には毛母細胞と呼ばれる、髪をつくりだす細胞があり、これが分裂を繰り返しながら成長します。伸びた髪はやがて抜け落ち、同じ毛穴からまた新しい髪が生えてきます。こうした生え変わりの循環がヘアサイクル(毛周期)です。ヘアサイクルは成長初期、成長期、退行期、休止期という4つの時期に分かれます。成長初期は毛母細胞が分裂を繰り返して、毛髪の成長が進む段階で、髪質はまだ細かいうぶ毛状です。成長期は、3~6年かけて毛髪が太く、長くなる時期です。頭髪の8~9割は、この段階にあるといわれています。続く退行期はおよそ2~3週間と短く、毛髪の成長が止まって少しずつ毛根が押し上げられていきます。休止期を迎えると、2~3ヵ月かけて毛髪が抜け落ちます。休止期にある頭髪は全体の1割程度で、通常一度に抜け落ちてしまうことはありません。こうしたヘアサイクルを経て、髪は生まれ変わるのです。
ヘアサイクルが乱れると、髪の成長が滞ったり、成長期が早く終わって休止期が長くなったりすることが考えられます。また、人によっては、季節の影響などでヘアサイクルが乱れる可能性があるともいわれています。例えば、春に生活環境が変わり、ストレスにより抜け毛が普段よりも多いと感じたり、10月から11月にかけては、夏の間に浴びた紫外線の影響で抜け毛が増えたりすることもあるようです。
女性の身近な抜け毛とその原因
女性の抜け毛は、さまざまな原因が絡み合って起こるといわれています。ここからは、正常なヘアサイクルの過程で起こる自然な抜け毛と、生活習慣の変化やストレスなどが影響する身近な抜け毛について見ていきましょう。
自然な抜け毛は1日に50~100本程度
正常なヘアサイクルの過程で起こる自然な抜け毛の本数は、1日に50~100本程度とされています。同じ本数であっても、髪の毛が長い人は、実際より多く感じることがあるかもしれません。一般に、頭髪の量は約10万本といわれており、毎日少しずつ生え変わっているのです。抜けるからこそ髪は新しく生え変わり、頭髪は一定量に保たれます。 正常なヘアサイクルの過程で生じる自然な抜け毛は、毛根が少し丸みを帯びています。べたつきのない白っぽい膜のような毛根鞘(もうこんしょう)が付着していることもあります。抜け落ちた髪は太く、硬く、長いのが特徴です。抜け毛は生活習慣が影響して起こる場合も
ヘアサイクルが乱れると、抜け毛が多くなったように感じることがあります。抜け毛の量は、毎日のヘアケアや生活習慣などによっても左右されやすいからです。普段の何気ない習慣が招いてしまう身近な抜け毛の原因を見てみましょう。過剰な皮脂の分泌が影響して起こる抜け毛
実は、頭皮は人体でもっとも皮脂腺が多い場所です。洗髪時にシャンプーで皮脂汚れを十分に落とせていないと、過剰な皮脂が残り、毛穴を詰まらせてしまうことがあります。頭皮環境が悪化するとヘアサイクルが乱れ、抜け毛につながるケースがあります。頭皮の乾燥で起こる抜け毛
頭皮は薄く、皮脂を分泌しながら、髪や皮膚を守っています。しかし、紫外線の影響や過度な洗髪によって皮脂を落としすぎると、頭皮が乾燥しやすくなります。乾燥によって頭皮が荒れ、フケが発生しやすくなると、毛穴詰まりを起こし、毛髪の正常な成長を妨げて抜け毛に発展することがあるのです。ストレスや睡眠不足といった生活習慣の乱れも、頭皮の乾燥を招くことがあります。体の冷えが影響して起こる抜け毛
夏や冬にエアコン直下で長時間過ごしていると、頭皮が冷えて抜け毛の原因になりかねません。冷えによって頭皮が固くなると、柔軟性が失われてヘアサイクルを乱す可能性があるのです。また、血液によって運ばれる栄養や酸素が頭皮や髪まで行き渡らなくなれば、毛髪の成長が妨げられて、抜け毛につながりやすくなります。髪が引っ張られることによる抜け毛
ポニーテールやヘアーエクステンションなどで、同じ部分の髪が引っ張られて起こる抜け毛もあります。髪がもつれて抜けやすくなったり、引っ張られて切れてしまったりするため、抜け毛が多いと感じるでしょう。強くブラッシングする際にも、同じような負担がかかります。健康な髪が切れたり抜けたりすることで、ヘアサイクルの乱れが起こりやすくなり、抜け毛が発生しやすい状態になります。日頃のケアで健やかな髪を~取り入れたいヘアケア&インナーケア
健やかな髪と頭皮を育むために大切なのは、できるだけ早い段階でケアすることです。髪と頭皮を考えたヘアケアと、生活習慣を見直すインナーケアの両方に取り組んでみましょう。
ヘアケア1:肌への負担と乾燥を考えたシャンプーを選ぶ
健やかな髪を保つには、潤いを頭皮に残しつつ、汚れをきれいに落とすことが大切です。そのために重要なのがシャンプー選びです。汚れ落ちがよいからといって、必要な潤いまで取り去ってしまうような刺激の強いシャンプーを選ぶのは避けましょう。頭皮に雑菌を繁殖させないためにも、シャンプー後は自然乾燥ではなく、ドライヤーでしっかりと乾かすことも忘れずに。清潔を心がけ、頭皮環境を守ることが健やかな髪を保つことにつながります。
頭皮ケアに有効なシャンプーの仕方は、以下もご参照ください。
ヘアケア2:頭皮マッサージを行う
頭皮の血行促進につながる頭皮マッサージもおすすめです。頭皮に程よい刺激を与えながら、固くなった皮膚をほぐしてあげましょう。 頭皮マッサージのポイントは、力を入れすぎないようにやさしく行うこと。指の腹を使って、小さく円を描きながら動かしましょう。まずは生え際に指を広げて軽く当て、頭頂部に向かってゆっくりと動かします。側頭部は耳の上から頭頂部に向かってほぐし、後頭部はえりあしから上に指をずらしながら頭頂部まで動かします。仕上げに、側頭部や生え際などを手のひらで包み込むようにして、軽くハンドプレスをすれば終了です。インナーケア1:食事で健やかな髪の維持に必要な栄養を摂取
髪の成長を促すには、栄養バランスを考えた食事を意識することも大切です。普段の食事を、一度見直してみましょう。健康な髪と頭皮を維持するための土台となるのは、タンパク質やビタミン類を含む肉、魚、大豆などを取り入れたバランスの良い食事です。皮脂の過剰な分泌につながるため、脂分の多い食事は控えめにしましょう。鉄分や亜鉛などのミネラルは、髪の成長にかかわる栄養素です。タンパク質やビタミン・ミネラルを考えた、バランスの良い食生活を習慣にしましょう。
インナーケア2:睡眠の質向上&ストレスの緩和
睡眠不足とストレスが続くと、頭皮にも影響がおよぼされてしまいます。髪と頭皮の健康を考えるなら、質のよい睡眠を心がけ、リラックスできる時間を増やしましょう。就寝前にスマートフォンやテレビを長時間見たり、明るい照明を浴びたりすると、睡眠の質の低下につながります。快適な温度と湿度を保った静かな環境で、ゆったりと過ごすとよいでしょう。また、普段の生活で、自分だけのリラックスタイムを設けるのもよいでしょう。例えば、バスタイムを充実させて、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのもいいですね。ウォーキングや水泳などの適度な有酸素運動で気分転換を図るのもおすすめです。好きなこととじっくり向き合う時間をつくれば、ストレスの緩和に役立ちますよ。
抜け毛が目立ってきたら?
どうしても抜け毛が目立ってしまうときは、どうしたらよいのでしょうか。髪型やスタイリングの工夫でカバー
いつも同じように髪を結んでいると、髪の根元が引っ張られて抜け毛につながる場合があります。そんなときは、ヘアスタイルや分け目、スタイリングの方法を変えてみてはいかがでしょうか。髪のボリュームが気になる場合には、以下の記事もご参照ください。