SUSTAINABLE
国際山岳デーに考える、森を支えるということ
2025.12.11
12月11日は、山岳地域の環境保全と持続可能な開発について考える「国際山岳デー」です。山は、私たちの暮らしを支えてくれる存在です。そしてその山は、見えない場所で働く誰かの手によって、静かに守られています。そんなことを考えながら、改めて、森をつくり、守ることについて想いを巡らします。
BOTANISTと森の関係。
BOTANISTは2015年のブランド誕生以来「植物と共に生きる」をコンセプトに掲げ、植物の恩恵に敬意をはらい、感謝しながら、植物に眠る力を探り、引き出す製品づくりを行っています。一方で、さまざまな植物保全活動を行い、植物と人がどちらも豊かに共存できる地球環境の持続を目指しています。
例えば、2021年には北海道美幌町にあるカラマツの伐採跡地を植生回復し、多様性のある森に戻す「BOTANISTの森」プロジェクトを始動。2023年には北海道美深町に「BOTANIST白樺ファーム」を開設し、BOTANIST製品のキー成分である白樺樹液をもたらす白樺の木を自分たちの手で植え、育てる、植物資源の循環を目指す取り組みに挑戦しています。また、2023年に設立した一般財団法人BOTANIST財団では、植物の多様性を守り、持続可能な共生社会の実現に向けた活動を行う団体への助成金プログラムを展開。各団体と森林の保全活動などを協働しています。
さらに、2023年より大阪府が推進する森づくり事業「アドプトフォレスト制度」を活用した森林保全活動に参画。大阪府茨木市の鉢伏山にて、2018年の台風21号で被災し、風倒木が発生したまま放置されている人工林の再生、広葉樹林化に取り組んでいます。
森を守り育てる、担い手たち。
2025年12月某日、BOTANISTスタッフは鉢伏山プロジェクトを共に進める、大阪府森林組合 三島支店を訪問。鉢伏山のほど近くに広がる、大阪府高槻市の出灰(いずりは)地区山林での活動に同行しました。
この地球も鉢伏山と同様、2018年の台風で風倒木被害が発生し、未だ復興途中にある人工林を有する山。この日は、立ち枯れ状態になっている木の伐採と山道(作業道)の開設作業が行われました。慣れた手つきで次々と作業を進める森林組合の皆さんの華麗な仕事ぶりや、大きな木が目の前で切り倒されていく迫力に、BOTANISTスタッフ一同目を奪われます。
森林組合の都解(つげ)さんは、「もし今だけ良ければ良いという考えなら、とりあえず倒れかけている木を伐採して、適当に道をつくれば、それでおしまい。でも、それでは持続的とは言えません。やはり手間暇をかけて、丁寧に木の状態や倒す方向を見極めながら伐採すること、しっかりと長く使える壊れにくい道をつくっていくことを大切に取り組んでいます」と話します。

今回伐採したエリアには1年後、改めて植樹を行い、新たな森づくりが始まるそう。その際にも、「ただ何でも適当に植えれば良いというわけではなく、何の木を植えるべきかよく検討することが重要です」と都解さん。伐採したのはスギやヒノキですが、これらは戦後、主に木材生産のために植林されたもの。時代の変化と共に生活スタイルが変わり、木材需要が減る今、同じようにスギやヒノキを植えるべきとは限りません。とは言え、将来的にどういった木材が必要なのかを予測するのはとても困難なこと。また、人工林が針葉樹に偏っている現状を見直し、多様性溢れる森を目指して広葉樹の植林を行い、全体的なバランスを取っていくことも必要な視点です。
さらに都解さんいわく、木の性質、山の役割を考えた植林が重要なのだとか。「例えば傾斜地の下のほうには意識的に湿潤な環境に適した木を植えます。“適地適木”で健全な森林が育まれると水を蓄え守る力が高まり、大雨の時には雨水を吸収して洪水を防いでくれますし、雨が降らない時には蓄えた水をゆっくりと土壌に浸透させてくれる。その一部は地下水に、一部は河川となって、私たちの生活を潤してくれるのです」と、都解さんは言います。
森にはさまざまな木々や草花が育つことで、さまざまな生き物や動物が集まり、豊かな生態系が築かれていきます。そうして、さらに緑が増える、土壌が育まれる、水が蓄えられてせせらぎが生まれるといった、豊かな循環が形成されます。それらは全て自然だけの営みというわけではなく、こうして森に人が入り、きちんと手入れをし続けることで維持される側面もあるのです。
今後植林し、木々が成長し、再び豊かな人工林となるまでには、40年も50年もかかると言います。遠い未来を想像しながら、日々森づくりに向き合う人々の取り組みを間近に見て、志に触れて、BOTANISTスタッフ一同は感心しきり。BOTANIST製品に使用している原料も、私たちがいつも当たり前のように吸い込む澄んだ空気も、こうした見えない場所で働く人々の存在によって守られているのです。BOTANISTは、そんな見えない場所で森を支える人々の姿を映し出し、その価値を伝えていくことも大切な使命だと考え、取り組んでいきます。

何気ない気づきと選択が、未来を変える。
世界的にSDGsやサステナブルが叫ばれる昨今、植物を大切にすること、森を守り、育てていくことの重要性は、多くの方が気づき始めていると思います。ただ、具体的な行動に移すことは簡単ではなく、実際に森林保全活動を行っているといった人は多くないでしょう。
しかしながら、日常の選択を少し変えるだけでも、自らの行動を森林保全につなげることはできます。例えば、BOTANISTの製品を使うことも、その一つ。BOTANISTの売り上げの一部は、「BOTANISTの森」プロジェクトに使用されます。BOTANISTを購入することで、皆さんも植林支援に参加できる取り組みとなっているのです。
日々のほんの小さな選択が、巡り巡って大きな結果を生み、未来を変える。一人ひとりがそのことに気づき、まずは一歩踏み出すことが、何よりも大切なのです。

BOTANISTはこれからも、植物と共に生きる未来のために。植物と人が豊かに共存できるよう、植物の保全を通して、持続可能な地球環境をサポートしていきます。今回出会ったような、見えない場所で森を支える人々への感謝とリスペクトを忘れることなく、自分たちの手でも豊かな森づくりへのアクションを止めることなく、少しずつでも着実に。BOTANISTの取り組みは続きます。