BOTANIST Journal 植物と共に生きる。

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PLACE 02

日本の春を彩る、絶景の桜

自然や植物に親しむ暮らしの中でも、特に心踊る桜の季節がやって来ました。日本人が愛してやまない桜。一度は訪れてみたい桜の名所や、人知れず咲き誇る孤高の一本桜をベストショットでご紹介します。

蕾がほころび春の訪れを告げ、短くでも何より華やかな満開の時を迎え、潔く散っていく桜に、日本人は万葉集の時代から心惹かれ、揺さぶられてきました。桜の下でお花見を楽しみ、歌や小説や芸術の中にも数知れず登場する桜。日本人は、昔からずっと当たり前のようにボタニカルライフを生きてきた、その象徴なのかも知れません。
全国各地の名木といわれる一本桜や桜の名所は、開花情報が恒例のニュースになりますが、その種類や歴史は案外知らないことも。また簡単には辿り着けない山奥に、人知れず見事に咲く桜もあります。写真家の巽宏安さんは、長年に渡り日本中の桜前線へと旅しながら、時間帯や天候によっても景色や姿を変える、大自然に抱かれた桜を撮り続けています。
今回ご紹介するのは、巽さん自身も「出会えた幸運」を感じた“美しい瞬間”の桜。それぞれの桜のエピソードもお聞きしました。

中山高原の一本桜(長野県大町市大町)

雪解け水でできる「幻の池」のほとりに咲く一本桜

桜が咲く頃 中山高原には雪が多い年にだけ、雪解け水でできる「幻の池」が現れます。そのほとりに遅咲きの桜が一本。それまで何度か訪れながらも、この一本桜の開花のタイミングや「幻の池」になかなかめぐり逢えなかったそう。辺り一面に咲く菜の花とともに池のほとりに咲く桜、それを映し出す鏡のような水とが織りなす美しい風景に感動しながら、ようやく捉えた一枚です。

滝沢の一本桜(岩手県滝沢市巣子)

雄大な景色の中に立つ知る人ぞ知る孤高の桜

高い丘の上、晴れ渡った青空と、雪を抱いた岩手山を背景に、満開の一本桜を捉えた貴重なショットです。近くには有名な小岩井農場の一本桜があり桜の時期は大勢の人で賑わう一方、こちらは訪れる人も少なく視界を遮る人工物もないため、桜愛好家の間では、これぞまさに一本桜、人に教えたくない桜、といわれています。開花情報も入手しづらく天候も変わりやすいため、現地に3日泊まり込んで撮影された一枚です。

田屋の一本桜(山形県最上郡金山町)

鏡面のような池に映し出される姿麗ししだれ桜

細い農道を進んだ先の自然豊かな山奥、池のほとりの堤に立つ、樹齢100年以上といわれる、姿美ししだれ桜。風のない日には水面にその姿を映してため息が出るような光景に出会えます。周辺に植えられているカタクリの可憐な紫の花との見事な調和も楽しめます。しだれ桜の隣には八重桜が一本。20年ほど前に初めて訪れたときは人ひとりいなかったそう。近年はカメラマンや観光客もたくさん訪れるようになりました。

野平の一本桜(長野県北安曇郡白馬村)

北アルプスの白馬三山を見渡す桜景色

白馬村を見下ろす高台の斜面に立つ、丸くかわいい形の桜の木。背景に残雪の白馬連峰を一望できるため、フォトジェニックな一本桜として大人気です。かつて村人が植樹した桜の一本といわれ、周辺の田畑のあぜ道には、長い冬が過ぎ待ちわびた春の訪れを告げる水仙が咲くのどかな風景が広がっています。ここ数年は桜の時期は全国から人々が殺到。このかけがえのない桜の景色をずっと楽しむためにも、ルールを守って愛でたいものです。

子授け桜(福島県郡山市中田町)

神社の境内に佇む樹齢200年の御神木

立てかけてあるはしごに上り、木の幹をまたぐと子供が授かるという御神木の桜。村落にひっそりと佇む大和田稲荷神社に立つ、樹齢200年といわれるエドヒガンザクラの大木です。わかりにくい場所で地元の人に案内してもらってやっとたどり着いて撮影した、夕日に照らされ桜が美しく輝いた瞬間。

赤木城跡の桜(三重県熊野市紀和町)

緑深い山里に残された石垣の上の桜

雨上がりの夕暮れ、霧が流れて満開の桜が咲く赤木城跡は、幻想的な雰囲気に満ちています。赤木城は、約430年前に藤堂高虎によって築城され、天空の城とも呼ばれます。数年前まではまだ若木だった桜が大きくなり、たくさんの花をつけるようになりました。開花時にはライトアップされ、これからもっと楽しみな桜の名所です。

高見の郷(奈良県東吉野村)

天空の庭をピンクに染めるしだれ桜の桃源郷

かつて林業の衰退に伴い荒れていく山を救うために植えられた1000本を越すしだれ桜が、山の斜面をおおい尽くす高見の郷。しだれ桜ばかりがこれほど一同に咲く場所はとても珍しく、全国の桜を数多く撮影している巽さんも久々に感動したという場所。この写真は早朝の開門時間すぐに展望台まで駆け上がり撮影されたもの。雨模様で山には霧が沸き立ち、「天空の庭の一目千本」と呼ばれるピンクのグラデーションを見下ろすⅠ枚。

醍醐桜(岡山県真庭市)

圧倒的な存在感と威厳に満ちた姿に心洗われる

推定樹齢1000年、山の上に開かれた集落にそびえるように立つ一本桜。その姿は威厳に満ちて神秘的で、一日中眺めていても見飽きないと、巽さんは言います。日本名木100選のひとつで岡山県の天然記念物にも指定されていて、見頃の季節には多くの花見客で賑わいますが、醍醐桜は今も変わらず、威風堂々とした姿を見せてくれます。

桜峠(福島県耶麻郡)

圧巻の桜並木と飯豊連峰を眺めるお花見スポット

裏磐梯に遅い春の訪れる4月末から5月初旬、ソメイヨシノより色濃いピンクの花を咲かせるオオヤマザクラが視界一面を桜色に染めます。桜峠のオオヤマザクラは、敬宮愛子内親王殿下御生誕を記念してオーナー制により2000本が植樹され、その後も植樹を増やして現在は約3000本にもなりました。目黒川沿いの桜は約800本ですから、桜峠の規模の大きさは圧巻です。

まとめ

仲間同士で賑やかにお花見するのももちろん楽しいけれど、お部屋で、人里離れた美しい桜の写真を眺めたり、知らなった桜のエピソードを調べたりするのも、素敵なお花見の方法ではないでしょうか? たとえば一冊の桜の写真集を、甘酸っぱい桜のお茶とともに楽しむひとときが、あなたのボタニカルな暮らしをまた素敵にしてくれます。

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BOTANIST スプリングシリーズ2020
PROFILE

巽 宏安

風景写真家。1957年生まれ。30年以上全国の桜前線を追い、日本各地の桜を撮影している。著書に「桜行脚」(光村推古書店)、「春光彩 桜花風貌描写」(日本カメラ社)等。「桜行脚」の個展もしてシリーズとして全国で開催。